行政書士をもっと身近に感じて頂けるように、コラムを書いていくことにしました。
第1回目のお題は「行政書士の権利擁護の取り組みについて」です。
なんだか文字面が難しいですが、出来るだけ分かりやすくお話していきたいと思います。
行政書士ができること
行政書士には「月刊 日本行政」という月刊誌が届くのですが、7月号に「行政書士の権利擁護の取組」についての記事が掲載されておりました。
記事の概要としましては
- 行政書士は、行政書士倫理綱領で「行政書士は、国民の権利を擁護するとともに義務の履行に寄与する。」と規定されていて、従来より業務において国民の権利の実現やその侵害の防止に努めてきた。
- 国連で採択された2030までのアジェンダ「誰一人取り残さない」を実現するために行政書士が権利擁護に対する意識を高め行動する。
- 会員の意識を向上し、多様性が加速する社会で、マイノリティーや社会的に弱い立場になりやすい方の権利擁護に貢献する。
という内容でした。
この記事を読んで、僕の考えをここに記したいと思います。
社会は今、本当に多様化しています。
しかし、古くから立法(法律を作ったり)や行政(法律を執行したり)は、やはりマジョリティーに重点を置いた政策をしています。
これは仕方のないことです。だって多くの人の為になったり、助ける為には、結果そうなるからです。
例えば、市役所の建物が古くなっていて、人口が増えてきているので職員ももっと必要になった。
古い建物を壊して大きく新しい建物に建て替えたとしましょう。
これはきっと多くの人の為になることですよね。
市役所が古くて壊れそうでは危ないし、必要よりも小さすぎて職員さんが少なければ、結果市民の皆さんに迷惑をかけてしまいます。
しかし、新しい建物を建てる為に桜の木が1本切り倒されたとします。
この桜の木に亡くなった奥様との思い出がある方はどう思うでしょうか…?
多数派の人々がなるべく便利に、生きやすくする政策は間違っていません。
しかし、そうすると上記のように助けてもらえなかったり、逆にその制度のせいで不利益を被る人も出てきます。
そういった人たちの権利をどう守っていくか。
それが「誰一人取り残さない」ということだと思います。
月刊行政においても、社会的に弱い立場になりやすいとされる
- 高齢者
- 障がい者
- 外国人
- LGBTQ等
- 子ども
- 女性
の方々に対する行政書士の関わり方については記載されておりました。
もちろん、これらの方々の権利が侵害されるのを防ぐことは当たり前ですし、
行政書士業務として、それぞれの方々にサポートできることはたくさんあります。
それは当たり前のこと、前提として、
多様化した社会においては、誰しもが、何かのカテゴリーにおいてはマイノリティーや弱者になる可能性があると思うのです。
自分がマジョリティーである時は当たり前の権利だと主張しまくり、逆にマイノリティーである時には人権侵害だと喚く。
そういった人々を増やすための「誰一人取り残さない」ではないと僕は思うのです。
権利を行使する時も、その裏で不利益を被っている人がいるかもしれないと考え行動する。
権利を侵害された時も、それがやむを得ない政策ならば落とし所を探す。
など、我々一人ひとりが考え、行動するべきなのだと思います。
そして、それにどうやって行政書士が寄与していくのかというと、
権利義務に関する事案は行政書士が関わることが多い場面です。
なので、行政書士は自分たちがまず「権利擁護」についてよく考え学び、
携わるお客様や関係する人々に対してもキチンとした「権利擁護」に関する啓発活動を行う。
ことだと思います。
ただ単に
「書類を作ったり」
「申請をしたり」
するだけでなく、
「行政書士」だからこそ関係各者と深く対話を重ねられると思うので、
そういった活動が結果「誰一人取り残さない」に繋がるのではないか、と僕は考えました。